実質的支配者リストとは?俄然注目の新制度を司法書士が解説します!

こんにちは、ゆう司法書士事務所です。

当事務所では最近、お客様の会社の新規口座開設の際に、銀行から「実質的支配者リスト」の提出を求められたという経緯から実質的支配者リストの作成代行の依頼を受けました。

そこで、今回のコラムでは出来たばかりの新しい制度である「実質的支配者リスト制度」がどのような背景で創設されたのか、また実質的支配者リスト制度の内容や利用場面についても会社法に詳しい司法書士がわかりやすく解説いたします。

これから新しく金融機関との取り引きをお考えの読者の方にとっては必見の内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。


目次

  1. 実質的支配者リスト制度の背景や内容、そして利用場面などを解説します!

     1-1. 実質的支配者リスト制度が創設された背景とは?司法書士が解説します!

  1-2. 実質的支配者リスト制度の内容について!司法書士が解説します!

  1-3. 実質的支配者リストの利用場面とは?司法書士が解説します!


実質的支配者リスト制度の背景や内容、そして利用場面などを解説します!

和4年1月31日から「実質支配者リスト制度」の運用が始まりました。

「実質的支配者リスト制度」とは、株式会社が法務局(登記所)の登記官に対して、株式会社が作成した実質的支配者に関するリストを添付書類とともに提出することで、そのリストの保管と認証文付きの写しの交付を受けることができる制度になります。

しかし、これだけを読んでも何のために「実質支配者リスト制度」の運用が始まったのかはよくわからないと思います。今回のコラムでは実質支配者リスト制度が創設された背景や内容、そして実質支配者リストの利用場面について解説をいたします。

実質的支配者リスト制度が創設された背景とは?司法書士が解説します!

日本では、国際社会からの要請もありマネーロンダリングやテロ資金供与の防止のために法人の実質的支配者を把握することの必要性が高まったことを受けて、会社設立に必要な定款の認証を行う際には公証人が会社の実質的支配者となる者の申告を求める取り組みが行われていました。

そして「実質支配者リスト制度」が創設された背景には、犯罪防止という観点から法人の透明性を向上させることが実質支配者リスト制度の根幹であり、前述したマネーロンダリングやテロ資金供与の防止のために法人の実質的支配者を把握することの必要性が高まったことを受け、会社設立時だけではなく、その後においても実質的支配者を把握できるように法整備化したものが今回の「実質的支配者リスト制度」になります。

ここでマネーロンダリングとは日本語では「資金洗浄」と呼ばれていて、 麻薬取引、脱税、粉飾決算といった犯罪によって得られたお金(汚れたお金)を、お金の出所をわからなくして使えるお金に変えることをいいます。外国映画の麻薬組織が行う手口なので、アメリカ映画などでは見たことがある方も多いと思います。

「実質支配者リスト制度」の運用開始によって銀行などの金融機関が、新たに会社と取り引きを始める際に反社会的集団との関わり合いがないことの確認が出来るようになります。

実質的支配者リスト制度の内容について!司法書士が解説します!

「実質的支配者リスト制度」とは、株式会社が法務局(登記所)の登記官に対して、株式会社が作成した実質的支配者に関するリストを添付書類とともに提出することで、そのリストの保管と認証文付きの写しの交付を受けることができる制度になります。

それでは、「実質的支配者リスト制度」の対象となる実質的支配者とは、誰に当たるのでしょうか?

  1. 会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接または間接的に有する自然人(当該会社の事業経営を実質的に支配する意思また能力を有していないことが明らかな場合を除く。)
     
  2. 上記の条件に該当する者がいない場合は、会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接または間接的に有する自然人(当該会社の事業経営を実質的に支配する意思または能力を有していないことが明らかな場合を除く。)

なお、ここでいう自然人には一般的な人間以外にも国や地方公共団体、人格のない社団や財団、上場企業及びその子会社などの「自然人とみなされる者」も含まれるので注意が必要です。

「実質的支配者リスト制度」の対象となる実質的支配者の詳細については法務省が提供している下記の表をご覧ください。

実質的支配者該当事由

法務省「実質的支配者リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)」より引用

実質的支配者リスト制度の対象となる会社

実質的支配者リスト制度を利用することが出来るのは、株式会社および有限会社が対象となります。もちろん株式会社および有限会社であっても前述の実質的支配者に該当する者がいない場合には実質的支配者リスト制度を利用することは出来ません。

実質的支配者リスト制度の手続きの流れ

実質的支配者リスト制度を利用するための法務局(登記所)でのリストの保管までの手続きの流れを解説いたします。

  ①実質的支配者リスト及び申出書の作成

  ②添付書面の準備

  ③法務局(登記所)での申出書および添付書面の提出

  ④法務局(登記所)の登記官による内容の確認

  ⑤法務局(登記所)での実質的支配者リストの保管

実質的支配者リスト制度を利用するための細かい書類の内容については、当事務所でもご案内が可能ですので、ぜひ当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

実質的支配者リストの証明書を取得する際の手続き

実質的支配者リストの証明書は、前述の手続きが完了した後に認証文付きの写しで交付されます。

なお、この写しは法務局(登記所)において再交付を求めることも可能になります。

実質的支配者リストの利用場面とは?司法書士が解説します!

それでは、実質的支配者リストの制度を利用するのは、どのような場面になるのでしょうか?

これについては、これから大きく変化することも考えられますが、現状では金融機関などで新しく口座を開設する時などで実質的支配者リストを要求されることが想定されています。

銀行などの金融機関は、犯罪などに関係していると疑いがもたれる取り引きについては、銀行の顧客と実質的支配者との関係を確認することが義務づけられているため、今後は実質的支配者リストを要求される機会はさらに増えていくものと思われます。

ここまでが実質的支配者リスト制度の解説になります。国際社会と日本では取り巻く環境が違いますので、日本においては銀行などの金融機関が新たに会社との取り引きを始める際に反社会的集団との関わり合いがないことの確認が出来るということが1番大きな要素になりそうです。

ゆう司法書士事務所では、実質的支配者リスト制度を始め、M&Aや資本政策としての増資、ストックオプション、株式分割といったとても専門性が高い業務を得意分野としていますので、企業経営をしている方でお悩みがある方はぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。必ず御社のスムーズな経営にご協力が出来ると確信しています。

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