株式会社では、年1回定時株主総会を開催する必要があります。
その定時株主総会の開催時期について解説します。

開催時期についての定款の定め

定時株主総会の開催時期について会社法では次のように定められています。

(株主総会の招集)
第296条 定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。

年1回の開催は義務付けられているもの、●ヶ月以内などの規定はありません。
定款において「定時株主総会の開催時期として事業年度末日の翌日から3ヶ月以内に開催する。」などと定めれれていればそれが開催時期の制限となります。
仮に、定款に定めがない場合であっても2ヶ月以内に開催している会社が多いと思われます。 その理由は後述します。

定時株主総会の開催が遅れた場合

定款において定時株主総会の開催は2ヶ月以内と定められている会社が、3ヶ月経過して定時株主総会を開催した場合は、株主総会の招集手続きが定款に違反しているものとして株主総会決議取消の訴え(会社法第831条第1項1号)の対象となってしまいます。
ただし、この株主総会の招集手続きについての瑕疵(違反)は株主全員の同意があれば治癒されると解されていますので、株主全員が総会に出席できた場合には、決議取消の問題にはなりません。

定時株主総会の開催時期に関する制限

開催時期については以下のような制限により実質的には3ヶ月以内に開催することになります。

基準日との関係

会社法では、株主総会において、議決権を行使することができる株主を特定するため、一定の日を基準日として定めその基準日時点における株主を議決権行使ができる株主とすることが出来ます。(会社法第124条1項)
この基準日の定めの効力が及ぶ範囲は、基準日から3ヶ月以内に開催した株主総会に限られています。そのため、多くの会社では定時株主総会における基準日を事業年度末日とし、かつ定時株主総会の開催日は3ヶ月以内とするという規定を定款に定めています。

法人税の申告時期との関係

法人税の申告時期は、各事業年度の終了日の翌日から2ヶ月以内が原則です。(法人税法第74条) そして、法人税の確定申告は株主総会で承認を受けた決算書を基に行わなくてはいけないとされています。
そのため定時株主総会は、必然的に税務申告の前に開催することとなります。

ただし、一定の事由により申告時期を1ヶ月延長することができます。

法人税の申告期限を延長することができるケース
①会計監査人の監査を受けなければならないため、事業年度終了の日から2か月以内に決算が確定しない会社
②会計監査人の監査を必要としないが、定款において事業年度終了の日から3か月以内に株主総会を開催する旨を定めている会社
③災害その他やむを得ない理由により決算が確定しないため提出期限までに申告書を提出できない場合

まとめ

すべての株式会社において年1回の定時株主総会は必須です。そして株主総会を開催した場合には議事録の作成が義務付けられています。
この株主総会の議事録が作成されていないというケースが散見されますので忘れずに議事録を作成するようにしましょう。

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