こんにちは、YOU司法書士事務所です。
会社法における支配人とは、読者の皆さまがイメージするレストランやホテルの支配人とは違って、会社の本店または支店において、会社の事業についての裁判上や裁判外の一切の行為をおこなう権限を有する者をいいます。
銀行のように規模の大きな会社の場合には、各地の支店に支配人を置き、その支店ごとに支配人の決裁権限でいろいろな業務を遂行することができます。
今回のコラムでは、支配人を選任した時の支配人の登記について、またそれに関連する支店の登記について、会社法に詳しい司法書士がわかりやすく解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
支配人選任の登記と支店の登記との関係を司法書士が詳しく解説します!
会社法上の支配人の定義は、会社の本店または支店において、会社の事業について裁判上や裁判外の一切の行為をなす権限を有する者になります。支配人はその置かれた特定の事業所の事業においては、代表取締役と同等の権限を持つことになります。
銀行などの全国に支店があるような大規模な会社になると各地の支店に支配人を選任して、支配人が決裁を行います。
支配人は、印鑑を法務局に登録できるため、支配人の登録印で委任状に押印することで、本社から実印を押印した委任状を郵送するという手間を省けます。実際に銀行などではよく支配人が委任状を発行して登記などの手続きを進めるケースがよく見受けられます。
支配人の選任と登記事項について
支配人に関する事項は会社における登記事項であり、支配人を選任すれば、支配人選任の登記をする必要があります。
支配人に関する登記事項とは、具体的には以下の通りです。
- 支配人の氏名および住所
- 支配人を置いた営業所
会社は、会社法上の支店を設置した場合には、支店設置の登記を行う必要があります。しかし、支店という名称であればすべてが会社法上の支店に該当するわけではなく、本店とは別に独自の営業活動をおこない対外的な取り引きが可能な営業所の実質を備えるものが会社法上の支店になります。
支店に置かれた会社法上の支配人は、本店から独立して支店独自の営業活動を決定する権限を有するため、その支配人のいる支店は当然に会社法上の支店に該当します。ですから、支配人を選任する登記の前提として必ず支店の登記をおこなう必要があります。
逆に、支店設置の登記を行う際、必ずしも支配人選任の登記を行うわけではありません。これは、支配人の代理権が営業活動の決定権限だけでなく、訴訟上の権限にも及ぶため、訴訟代理権を与えりつもりがないのであれば、支配人を選任すべきではないからです。
支配人の選任方法と登記の必要書類について
支配人選任の登記手続きを申請する場合の添付書類は、支配人を選任した「取締役会議事録」または「取締役の決定書」と司法書士への「委任状」だけです。
なお、取締役や監査役の就任登記の際に必要な「就任承諾書」については支配人の選任登記の添付書類として必要ありません。これは取締役や監査役などの役員と会社の関係が委任関係で、支配人と会社の関係は雇用関係であるという違いからになります。委任契約は当事者双方の合意により成立しますが、雇用関係にある場合には当然に会社の指揮命令に服するために合意が求められないことが理由になります。
結論になりますが、支配人を置く場合には支配人の登記を申請する必要があります。また、支配人を支店に置く場合には、前提として支店設置の登記を申請しなければなりません。支配人を置いた営業所を移転する場合には「支配人を置いた営業所移転」の登記も併せておこなう必要があります。
ここまでで、今回のコラムの「支配人の選任登記とは?必要事項と支店の登記との関係について解説!」のテーマの解説は以上になります。
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